平成21年度は、岡山市におけるソーシャル・キャピタルと健康の調査について、分析を行った。調査対象に含まれている、20小学校区(全87小学校区中)の、各種ソーシャル・キャピタル指標の高低と、愛育委員活動の活発さ等について、岡山市保健所担当者との意見交換を行うとともに、分析結果の一部は、第68回日本公衆衛生学会総会(奈良)などで発表を行った。また、ソーシャル・キャピタルに関わる研究では、公衆衛生学領域よりもむしろ、経済学・政治学などの領域の方が歴史も実績もあり、また、極めて学際的研究領域であることから、平成22年3月に東京で開催されたシンポジウム「ソーシャル・キャピタルの政策的含意」にも参加し、意見交換を行った。 行政内データミクロレベルリンケージについては、協議を重ねているが、現在のところ岡山県・岡山市におけるリンケージについての進捗はあまりなく、必要に応じて、より先進的な他府県・市町村との調整も進める予定とする。 小地域介入については、研究デザインの精緻化を進め、次年度、Harvard School Of Public Healthの、Kawachi教授、Subramanian准教授に助言をいただくための準備として、平成21年度内の他の目的での来日に際して、何度か直接の相談を行った。 平成21年6月にボストンで開催された、International Symposium on Social Capital and Healthに参加し、他の研究者との情報交換を行うとともに、特に職場のソーシャル・キャピタルについて話題提供も行った。本シンポジウムの第2回は、平成22年6月に岡山にて開催予定であり、現在準備を進めているが、Policy Implications of Social Capital Researchと題するセッションを設け、行政からの期待、アカデミックからの回答とともに、SC醸成のための介入手法としての先進事例の報告を行う。
|