研究課題
平成23年度は、主たる研究目的であるソーシャル・キャピタル(SC)を用いた行政施策評価を行う予定であった。しかし、東日本大震災の影響により、行政の協力が得られにくくなった。そのため代替案として、企業において運動介入プログラムを実施し、介入効果について運動量等に加えて、職場のSCについて評価を行なった。暫定的な結果は、それぞれ100名程度の運動介入群と対照群(待機群)との比較において、有意ではないが運動量の増加(IPAQ shortで測定)と精神的健康の改善(K6で測定)が認められた。一方で、SC(Finlandのグループが用いている8項目版を用いて評価;8-40点)については、介入群、対照群とも約30点で、介入前後において変化は認められなかったが、結束型SCと橋渡し型SCに層別したところ、橋渡し型SCにおいては有意ではないものの介入群では改善、対照群では不変であった。本結果の解釈については、運動介入のグループ構成が事業所内の複数部署にまたがったことにより、あまり面識のなかった部署の異なる社員同士でのコミュニケーションが促進された可能性について言及できると考えた。その他、岡山県で実施した高齢者の調査(約22,000人)結果については、論文としてまとめつつある。また、自殺対策を対象とした行政施策評価の試行については、年度途中より吉備中央町との調整を再開している。平成23年6月には、Manchesterで開催された第3回International Symposium of Social Capital and Healthに参加し、情報交換を行った。成果については、研究期間中を通じて日本公衆衛生学会総会(奈良、東京、秋田)自由集会等において、市町村担当者や大学研究者への普及啓蒙を継続して行った。
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