肝臓におけるアルブミンの代謝動態が、摂取するタンパク質の質(種類)によってどのような影響を受けるかについて検討した。Wister系9週齢の雄ラットを3群に分け、タンパク質(エネルギー比20%)を、カゼイン100%、グルテン100%、カゼインとグルテン各50%に調整した飼料をそれぞれ与え、1ヶ月間飼育後、8時、13時、18時、23時に麻酔下で門脈と肝静脈から採血を行った。グルテン食群は他の2群に比べて体重、体脂肪量が少なかったが、血清アルブミンはほぼ同程度であった。しかし、タンパク質の代謝産物である尿素の血中濃度はグルテン食群が他の2群に比べて高値を示し、体内のタンパク質合成・分解が異化に傾いていた。さらに、グルテン食群は肝臓グリコーゲンが他の2群に比べて高値を示した。グルテンは糖原生アミノ酸の割合が高いため、体内のタンパク質合成に利用される量は多くなく、糖原性アミノ酸由来の炭素骨格が肝臓グリコーゲンとして蓄えられたと考えられた。みかけの血清アルブミン値が維持されていても、タンパク質の質が異なることによって、余分なアミノ酸の異化による尿素の増加が認められ、身体づくりや臓器への負担が少なくないと考えられた。また、平成22年にH県E市で実施された集団健康診査受診者を対象に、健診項目に追加して血清アルブミン測定、体組成・体力測定、生活習慣調査を実施した。これらの結果を踏まえて、栄養状態をより正確に判定し、低栄養の予防及び改善につながる評価方法の検討を進めている。
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