| 研究概要 |
中央アジアにおける持続可能な学校健康教育の展開に関する研究を行うことを目的として,本年度はカザフスタン共和国におけるにおける児童生徒の健康水準,教育システムについて教育・保健医療および行政担当者へのインタビューおよび統計資料等を基に分析した.加えて,同国の研究者を招へいし,我が国における学校健康教育および給食の実施状況について視察を行った.
その結果,カザフスタン共和国では,都市部と農村部で子供たちの健康問題の構造に違いがあり,都市部では,肥満や運動不足等が問題となり,農村部では感染症や栄養不足が課題となっていることが明らかとなった.
健康教育科目については,教育課程の編成過程で科目が学校現場や関連研究者からのヒアリングや調査なしに政治的な理由で消滅した.そのことで,健康に関する内容は複数の科目でバラバラに教えてはいるが,それは,それぞれの科目の独自性や系統性の観点から内容に組み込まれているだけであり,特に健康に関する知識と技術の獲得に配慮した内容が展開される保証がなされていないことが大きな問題となっていることが明らかとなった.しかしながら,政府系研究機関では,複数の科目に分散している健康に関する内容を統合した新しい科目を提案し,いくつかの学校で研究実践を行っていた.
また,カザフスタン共和国では,学校給食が1-4年生に無料で提供され,随時学年を広げていく政策が実施されていた.
今後は,学校健康教育に関する科学的客観的なデータの蓄積とともに給食を中心とした栄養教育に関する研究が求められていることが明らかとなった.
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