研究概要 |
カザフスタン共和国アラル海周辺地域における学校保健プログラム開発のための第一歩として,学校保健プログラムの中心である学校健康教育の現状について把握するために,学校健康教育に関する教科の開発の動向とその課題を明らかにすることを目的とした. 現行の学校健康教育教科 Валеология Программа (Алматы, 2005),新しく開発された学校健康教育教科Здоровье и жизненные навыки(2007),同国における学習指導要領にあたるГосударственный общеобязательный стандарт среднего общего образования Республики Казахстан(Алматы, 2002)等の分析に加え,教育科学省及び保健省関係者にインタビューを行った.結果としては以下の5点が明らかになった. 1)カザフスタン共和国における初等中等教育は現在11年制であるが,12年制に移行する準備が行われていた. 2)同国では,「Валеолoгия(健康科学)」という学校健康教育教科が1998年に設立された. 3)この教科の成立に主導的な役割を果たしたのが,National Center for Problems of Healthy Lifestyle Developmentであり,当時所長であったAdilhanov Almuhamed氏であった. 4)Валеолoгия(健康科学)の教員はスポーツ大学,医科大学,教育大学で養成されている. 5)多数の教科に散在する学校健康教育に関連する内容を統合する形で「Здоровье и жизненные навыки(健康とライフスキル)」が2005年に開発された.同国のが学校保健プログラム開発および学校健康教育の課題として,必要な教育内容の範囲(Scope)と,各年齢段階でどのように学ばせていくかの配列(Sequence)を明確にする作業が不可欠であることが明らかとなった.
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