研究概要 |
ヒト老化現象に極めて類似したモデル、α-klotho遺伝子欠損マウス(klothoマウス)の開発によって,老化に伴う様々な表現型の解析が行われてきた.その一つに生殖器機能低下が認められる.そこで婦人科で頻用される和漢薬「当帰芍薬散」の生殖器機能低下に対する抗老化作用について解析することを目的とした.まず,本研究で用いた当帰芍薬散は,当室で作成されたものである.よって品質の再現性を示すために,当帰芍薬散の成分解析をHPLC/ダイオードアレイ/MSを用いて行った.当帰芍薬散は,当帰,芍薬,川〓,沢瀉,白朮,茯苓の6生薬より構成され,昨年度までに当帰芍薬散中に含まれる18個の化合物を特定した.今年度は沢瀉由来の16-Ketoalisol Aを,UV Chromatogramの254nmの位置に特定することができた.また,当帰芍薬散に含まれるPaeoniflorinの定量を行った.Paeoniflorinは芍薬500gからメタノール,クロロホルムを用いて単離・精製されたもの(4mg)を用いた.Paeoniflorinはメタノールに溶かし標準溶液を調整,凍結乾燥させた当帰芍薬散は水に溶かし遠心分離・濾過して調整を行った.検量線は,標準溶液を段階的に希釈し,各濃度3回ずつHPLC/ダイオードアレイ/MSを用いて定量,254.4nmにおけるピーク面積の平均値によって作成した.当帰芍薬散1g中に含まれるPaeoniflorinの含有量(g/mL)は,2.51×10^<-2>±1.10×10^<-3>であることが分かった.同様の手法で,芍薬由来のAlbiflorinの定量を現在進めている.
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