研究概要 |
平成22年度は、昨年度に引き続き、健常人ボランティアに対して、大建中湯(またはプラセボ)+オメプラゾール20mg+ジクロフェナクナトリウム75mgを投与した。内服薬の投与前後で、血液検査、カプセル内視鏡検査、胃腸の自覚症状に関するアンケートを行った。 血液検査の解析には、Bio-Plex サスペンションビーズアレイシステムを用いて、血中のサイトカイン、ケモカインを計測した。IL-1beta,IL-1Ra,IL-2,IL-4,IL-5,IL-6,IL-7,IL-8,IL-9,IL-10,IL-12(p70),IL-13,IL-15,IL-17,G-CSF,GM-CSF,IFN-gamma,IP-10,MCP-1(MCAF),MIP-1alpha,MIP-1beta,PDGF-BB,RANTES,INF-alpha,VEGF,IL-1alpha,IL-2Ra,IL-3,IL-12(p70),IL-16,IL-18,CTACK,GRO-alpha,HGF,IFN-alpha2,LIF,MCP-3,M-CSF,MIF,MIG,Beta-NGF,SCF,SCGF-beta,SDF-1alpha,TNF-betaを測定した。大建中湯投与群で、改善したものは、INF-γ、TNF-α、MIP-1a、IL-1Receptor antagonisyであった。これらのサイトカインは、腸間の炎症にかかわるマーカーであり、大建中湯がNSADIS起因性小腸潰瘍の予防効果を示唆する所見である。また、統計的な優位差は出なかったものの、大建中湯内服時に、消化器症状が軽い傾向であった。投与対象が健常人であり、NSAIDsの内服期間が短いため、今後はNSAIDsを長期内服している患者に対する効果を検討する必要がある。
|