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2009 年度 実績報告書

香蘇散の抗うつ様効果におけるオレキシン及びニューロペプチド神経系の関与

研究課題

研究課題/領域番号 21790631
研究機関北里大学

研究代表者

伊藤 直樹  北里大学, 東洋医学総合研究所, 上級研究員 (00370164)

キーワード香蘇散 / オレキシン / ニューロペプチド
研究概要

我々はこれまでに、漢方薬「香蘇散(KS)」がストレスで誘発される海馬神経系前駆細胞数の減少の抑制、さらに近年うつ病との関連性が指摘されている神経ペプチドであるorexin A (OX-A)の脳内発現挙動に影響を及ぼした結果を得ているが、その詳細については明らかになっていない。また、我々は以前にOX-Aが神経系前駆細胞及びOX-A関連ペプチドであるneuropeptide Y (NPY)神経系調節作用を介して抗うつ様効果を発揮することを報告した。そこで今回、ストレス誘発うつ様モデルマウスを用いて、OX-A/NPYの挙動がKSの抗うつ様効果及び作用メカニズムにどの程度関与するのかをOX-Aの受容体orexin receptor 1 (OXR1)の阻害剤であるSB-334867を用いて行動薬理学的及び組織化学的に検討した。また、KSの効果をポジティプコントロールとして用いた既存の抗うつ薬ミルナシプラン(MIL)(セロトニン,ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)と比較した。
以下に本年度で得られた結果を示す。
・KS投与群で認められた抗うつ様効果及び海馬神経系前駆細胞の増殖促進作用は、SB-334867投与によって有意に阻害されたが、MIL投与群で認められた抗うつ様効果および海馬神経系前駆細胞の増殖促進作用は、SB-334867投与の影響を受けなかった。
・ストレス誘発うつ様モデルマウスでは、海馬NPY陽性細胞数の減少が認められ、KS投与によってその細胞数は有意に増加した。また、KS投与群で認められたNPY陽性細胞数の増加は、SB.334867投与によって有意に阻害された。
一方、MIL投与群では、ストレス負荷で誘導されたNPY陽性細胞数の減少を増加させる作用は示されなかった。
以上の結果から、香蘇散の抗うつ様効果及びその作用メカニズムには、OX-A/NPY神経系の調節作用が深く関与していることが明らかとなった。また、MILで認められた抗うつ様効果および海馬神経系前駆細胞の増殖促進作用は、OXR1阻害剤の影響をほとんど受けなかったことから、OX-A/NPY神経系を介する作用にKSとMILの作用メカニズムの違いが存在する可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] A possible mechanism underlying an antidepressive-like effect of kososan, a Kampo medicine, via the hypothalamic orexinergic system in the stress-induced Depression-like model mice.2009

    • 著者名/発表者名
      Ito N., et al.
    • 雑誌名

      Biol.Pharm.Bull. 32

      ページ: 1716-1722

    • 査読あり
  • [学会発表] 香蘇散の抗うつ様効果におけるオレキシン神経系の関与2009

    • 著者名/発表者名
      伊藤直樹, 他
    • 学会等名
      第26回和漢医薬学会学術大会
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉県)
    • 年月日
      2009-08-30

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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