研究概要 |
本研究は,肝硬変時に低下する肝機能を代償する骨格筋量を脂肪組織由来幹細胞(ADSC)移植にて,維持,増加させ,全身的な蛋白異化状態を改善させる肝硬変の新規代替医療の治療法開発を目指すことを目的とした。ヒトADSCを骨格筋に移植したヌードマウスに対し,四塩化炭素(CCl_4)を投与して肝障害を生じさせたモデルの肝予備能ならびに骨格筋萎縮に対する効果について検討した。ADSCを移植した腓腹筋重量は有意に増加し, CCl_4投与による血清アルブミン・総蛋白濃度の低下は改善傾向を示した。また, ADSC移植によって,脾臓重量/体重比上昇の有意な抑制と骨格筋重量/体重比の維持傾向を示した。また, CCl_4投与による肝組織中α-smooth muscle actin蛋白発現増加も, ADSC移植により抑制され,肝線維化に対する抑制効果もみられた。ADSCの骨格筋中への移植は,肝疾患の栄養不良状態による骨格筋萎縮を抑制し,血中蛋白維持や肝障害度の抑制対策にも有効な手段になる可能性が示唆された。
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