CL-K1組み換え蛋白質を大腸菌により作成、精製しウサギに免疫し血清を採取、IgG精製を行いさらに抗原によるカラムを作成、抗原精製を行い非常に感度の高い抗体を作成した。旭川医科大学消化器・血液腫瘍制御内科学分野との共同研究により、ヒト大腸腺腫組織、および大腸癌組織の供与を受け、正常組織8例、大腸腺腫31例、大腸癌59例(早期癌31例、進行癌8例)を使用しCL-K1特異的な抗体を使用し免疫組織学的検討を行った。その結果、正常腸上皮に比べ腺癌部でCL-K1蛋白質発現が著しく亢進していた。また、大腸腺腫組織でも正常大腸粘膜に比べCL-K1蛋白の発現が亢進していることを明らかにした。以上の98例の検討によりCL-K1蛋白質の発現は正常粘膜、大腸腺腫、大腸癌の順序で発現が亢進していることを明らかにした。さらに、癌の腺と腺の間の間質にも強く発現し、正常粘膜、大腸腺腫、大腸癌の順序で発現が亢進していることを明らかにした。また、癌組織でのCL-K1蛋白質の機能を検討するため、大腸菌による組み替え蛋白質を作成しヒト大腸癌培養細胞のmedium内に添加し検討した。細胞の増殖の変化をWST-1 assayにて、転移能に与える影響に関してはmicropore chamberを使用したmigration assay、invasion assayにて検討したがCL-K1蛋白質は大腸癌培養細胞株の増殖、転移、浸潤に関与しないことが明らかとなった。ヒト血清中のCL-K1の濃度を測定するELISA系を構築するため、組み換え蛋白質を作成しマウスに免疫、ハイブリドーマを作成し、モノクロナール抗体得るための研究を行っている。
|