CL-K1は分泌タイプのコレクチンで肝臓において産生され、血中に存在し自然免疫に関与する。我々は以前にヒト、マウスで使用可能な特異抗体を作成し、マウスでの組織分布を報告し、自然免疫に関わる遺伝子である可能性を報告してきた。いくつかのコレクチンは動物モデルにおいて発癌との関係を示唆されてきたが、CL-K1に関しては未だ癌との関係の報告はない。今回我々はCL-K1の消化器癌での発現を検討し報告する。最初にヒト正常組織、癌組織でのCL-K1の発現を組織アレイを活用し検討し、正常組織においてはマウスで報告したように血管平滑筋や腎近位尿細管、肝臓、神経細胞に発現が高いなどマウスの発現パターンと類似していることを明らかにした。また、ヒト癌アレイを使用し様々な癌での発現を検討した結果、様々な癌組織において正常より発現が高い傾向であることを明らかにした。続いて旭川医大にて採取した胃癌組織42例、大腸組織98例を使用しCL-K1の発現を検討した。その結果、消化器癌においてもCL-K1の発現は上昇し、更にその発現は浸潤部で上昇する傾向にあった。ざらに大腸癌においては正常組織、腺腫、腺癌で比較検討したがCL-K1の発現は悪性度に従い上昇していることを明らかにした。以上の結果によりCL-K1は組織の癌化に伴い発現が上昇することを初めて明らかにし、今後のCL-K1の機能解析に関して大きな進展の可能性が示唆された。
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