研究課題
平成22年度平成21年度の結果を踏まえ引き続きプライマリーナイーブT細胞に感染実験を行い、T細胞分化の検討を施行した。CD4陽性T細胞の中でもCD45RA陽性CD45RO陰性のナイーブCD4陽性T細胞においてCD3CD28抗体とIL2刺激下で複製が確認されたため、他の分化条件下での検討を施行した。IL6のみ、TGF-βのみ、またIL6とTGF-βを用いたTh17細胞誘導条件下でリンパ指向性HCVを感染させる検討を施行した。結果、有意にTh17細胞頻度の増加が確認されたため、この責任蛋白の同定を行った。NucleofectorでHCV-individual protein発現プラスミドをトランスフェクトした結果、HCV-Core蛋白を発現させるとTh17分化誘導が有意に増強した。またヒトプライマリーナイーブCD4陽性T細胞にて持続的にHCV-Core蛋白発現させるためにレンチウイルスベクターに遺伝子を導入した系を作成して検討を施行した。結果、Th17のマスター遺伝子であるRorの有意な増加が確認された。さらに当院を受診した200名のCHC患者DATAを解析したところHCV感染患者の自己抗体陽性率は約40%と高かった。さらに自己抗体陽性症例と陰性症例に分けてIL6、TGF-β、IL21の血清濃度について検討したところ自己抗体陽性症例においてIL6,TGF-βが共に高い症例が多かった。これらの結果より、自己抗体陽性HCV患者はTh17分化に適したサイトカイン条件となっており、リンパ指向性HCVはこの条件下でさらにTh17への分化を増強することが分かった。このことから、リンパ指向性HCVはCHC患者における自己免疫疾患発症と関連があることが示唆された。
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