研究概要 |
ポリコーム(PcG)群遺伝子はPRC1とPRC2の2つの複合体を形成し、Ink4a-Arfなどの標的分子の発現を負に制御する。PRC1の主要な構成分子であるBmi1は、多くの幹細胞システムに共通な自己複製制御分子であるが、申請者らはBmi1欠損肝幹細胞およびInk4a-Arf欠損肝幹細胞を詳細に解析し、Bmi1がInk4a-Arf依存的あるいは非依存的に自己複製能維持や腫瘍形成能の獲得に関与することを明らかにした(Chiba et al, Hepatology 52:1111,2010)。さらに、Bmi1の新規標的分子として、マイクロアレイ解析によりSRY(sex determining region Y)-box 17(SoX17)を含む5個の候補遺伝子を同定した。 また、PRC2の主要な構成分子であるEzh2の機能解析を行った結果、正常肝幹細胞および肝癌幹細胞の自己複製能維持においても、重要であることを見出だした(Chiba et al,J Hepatol52:854,2010)。さらに低分子化合物3-deazaneplanocin A(DZNep)によるPRC2の機能阻害が、肝癌幹細胞を標的とした新たなアプローチとなりえる可能性を示した(論文投稿中)。
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