研究課題
原発性硬化性胆管炎(PSC)の肝移植後再発のリスクファクター解析全国の移植施設へのアンケート調査により、PSC肝移植後長期成績に関する全国多施設共同研究を行った。2008年12月までに行われたPSC症例に対する肝移植例114例の集計を行った。0.3-153ヶ月(中央値42ヶ月)の観察における患者生存率は1年83%、5年74%、10年57%、グラフト生存率は1年82%、5年70%、10年34%であり、欧米の成績より明らかに低い成績であった。成績が悪い原因として、PSC再発の問題が明らかになったため、PSC再発に関与する因子について検討を行った。その結果、単変量解析(logrank test)と多変量解析(Cox regression analysis)でともに有意差をもって同定されたPSC再発のリスクファクターは、術前のMELDスコアが24以上、一親等ドナーからの肝移植例、3ヶ月以内のサイトメガロウイルス(CMV)アンチゲネミア陽性、1年以内の胆管吻合部合併症の4つであった。さらに、PSC肝移植後のグラフトロスに関与する因子の解析を行った。その結果、術前のMELDスコアが24以上であることと一親等ドナーからの肝移植例の2つが独立したリスクファクターとして同定された。また、京都大学においてPSC再発からグラフトロスに至った症例の病理組織学的な解析からは、自己免疫性肝炎様の活動性肝炎の合併が、肝移植後の再発PSCの急速な進行に関与することが明らかとなった。すなわち、PSCに自己免疫性肝炎が合併することによって、急速に肝不全へと進行する可能性が考えられた。
すべて 2011 2010 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
American Journal of Transplantation
巻: 11 ページ: 518-527
Human Pathology
巻: (in press)