研究概要 |
免疫電顕法を用いてGFP陽性骨髄由来細胞の持続炎症下の肝硬変への定着,分化の形態的変化,肝細胞索構造の形成について検討したところ投与した骨髄細胞は二種類の細胞集団にわかれていることを証明した。 また肝芽細胞マーカーのLiv2抗体陽性細胞や幹細胞markerといわれるA-6, EpCAM-1陽性細胞,研究協力者の寺井がクローニングした(Gastroenterology 2005) Maid陽性細胞やMMP9陽性細胞を免疫電顕でとらえることに成功し,各陽性細胞の形態の解析とGFP陽性骨髄細胞の形態・細胞内器官の変化の解析を行い,GFP陽性細胞には類円形の大型細胞と核N/C比の高い小型の細胞の二種類の細胞集団にわかれることを判明させた。またLiv2陽性細胞・A-6陽性細胞はN/C比の高い小型の細胞で肝細胞周囲と線維化領域に存在し,MMP9陽性細胞・Maid陽性細胞は類円形の大型細胞で肝障害領域に入り込んでいた。 高脂肪食またはCDAA食の持続投与により作成された脂肪肝・NAFLDモデルマウスにGFP Tg miceから分離したGFP陽性全骨髄細胞を尾静脈より投与し,GFP/CCl4モデル同様GFP染色で経時的変化を解析したところ、肝線維化環境下と比較して脂肪環境下の肝臓には骨髄細胞は定着しにくいことがわかった。またこれらのマウスの様々な臓器を摘出し,GFPによる免疫染色で骨髄細胞の動態を解析してみると,肺・脾臓・小腸にGFP陽性細胞を多く認めた。骨髄細胞投与群の方が非投与群より生存率は高く、血清アルブミン値等肝機能も改善していた。また組織脂肪沈着も骨髄細胞投与群の方が非投与群より有意に減少していた。
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