研究課題
本研究では、ES細胞およびiPS細胞から正常発生に沿った形で小腸細胞を効率よく分化誘導する方法を確立し、小腸における薬物動態予測のためのモデル細胞を作成することを目的とする。新薬開発において薬剤の吸収および代謝について迅速かつ大規模に調べるハイスループット評価系は必須となっている。現在、小腸での薬物透過吸収測定法としては、ヒト腸管透過吸収をよく反映すると言われているヒト結腸ガン由来上皮細胞株Caco-2細胞が汎用されている。近年、小腸の上皮細胞にも薬物代謝酵素CYP3A4が多く存在し、薬物の代謝に関与していることが明らかになったが、Caco2細胞おいては、発現量が極端に低いことが報告されている。また、ヒト小腸に発現している他の酵素に関しても存在はするものの、そのアイソザイムや発現量が大きく異なることがわかっている。平成21年度は、マウスES細胞を支持細胞であるM15細胞を共培養することにより、小腸細胞を効率よく分化誘導できる方法の開発を行った。平成22年度は、マウスES細胞から得られた知見を参考にしながら、ヒトiPS細胞から小腸組織への分化誘導方法の開発を行った。ヒトiPS細胞においてもM15細胞は内胚葉組織への分化誘導に有用であることが分かっており、小腸も同様にM15の系を用いて、小腸分化誘導を行った。評価は、RT-PCR、抗体染色、免疫染色等を用いて行った。解析の結果、M15細胞上で分化を進めることで、効率よく小腸前駆細胞を分化誘導することに成功し、長期培養により、吸収腸細胞・杯細胞・バネート細胞および腸管内分泌細胞といった、すべての小腸細胞が分化誘導可能であることも確認した(大垣ら、投稿準備中)。
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