研究概要 |
(1)WBN/Kobラットを2ヶ月令より雄性、雌性一ヶ月間隔でELISAを用いて血清学的検査を行ったところ、2ヶ月齢より高IgG2b血症、6ヶ月齢から甲状腺機能障害を認め、10ヶ月齢より肝機能障害・腎機能障害が出現した。 (2)膵臓、肝臓、腎蔵、甲状腺の組織を採取しHF染色を行ったところ、いずれの臓器においてもリンパ球を中心とした炎症細胞浸潤を認め、膵臓腺房細胞変性・肝門脈域線維化・腎間質線維化・甲状腺濾胞の破壊を病理的組織学的に認めた。それぞれの障害臓器においては抗IgG2b抗体沈着を認め、病期によってCD8優位(Th1)からCD4優位(Th2)へと変遷していた。また後期病期においては抗B220抗体陽性B細胞浸潤も目立った。 (3)同時に臓器内における炎症細胞の発現マーカー(IgG2b,CD4,CD8,B220,Foxp3,icos)細胞内サイトカイン(IL-4,IL-12,IL-10,TGF-β,IFN-γ)を蛍光多中染色にて同定確認したところ、Th1からTh2へ炎症バランスが変化しておりTregの発現も亢進していた。さらにIL-10とIgG2bの産生に正の相関が認められた。 以上よりWBN/Kobラットにおける多臓機障害病変はTh1/Th2およびTregの活性化やこれらが産生するIL-4、IL-10によってIgG2bへのクラススイッチが促進されると考えられ、WBN/Kobの病態形成および進展に関与していることが示唆された。
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