研究概要 |
本研究の目的は、消化管粘膜上皮傷害からの再生過程におけるTNF-αスーパーファミリー分子TWEAKとその受容体Fn14のシグナル経路とIL-13作用との相互作用を明らかにすることである。これまでの実験結果から、放射線誘導性腸管粘膜傷害においてはTWEAKとIL-13の二つのサイトカインがいずれも上皮再生過程に重要な役割をしていることが示された。そこで、本年度は、IL-13による組織傷害のメカニズムにTWEAK/Fn14が関わっているかどうかをマウス小腸粘膜の一時培養系を用いてin vitroで検証した。 In vitroで、TNFα様々な刺激によるTWEAKとIL-13の二つのシグナル伝達経路の独立性・依存性を,中和抗体、可溶化デコイ受容体、TWEAKあるいはFn14遺伝子欠損マウス由来の組織を用いて調べた。TNFαによる消化管上皮アポトーシスの誘導はCaspase活性、Tunel染色により検出し、IL-13及びTWEAKの両方によって増強することがわかった。また、我々はTh2型優位(従ってIL-13優位)のマウスでは大腸発癌頻度が比較的高いことを見いだしていたため、TWEAK/Fn14がIL-13を通して発癌機構にも関与している可能性を想定した。そこで、TWEAK/Fn14遺伝子欠損マウスにおけるアゾキシメタン誘導化学発癌、アゾキシメタン+DSS腸炎による炎症発癌の頻度を野生型マウスと比較した。その結果、野生型マウスとFn14欠損マウスの大腸腫瘍発生数の間に有意差は認められなかった。
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