1.マクロファージ特異的ドミナントネガティブ(DN)-MafB遺伝子改変マウスとApoE欠損マウスと交配させ、動脈硬化に与える影響を検討した。高脂肪食負荷を行うと著明な動脈硬化が生じるが、DN-MafBとApoE欠損の二重遺伝子改変マウスではSudanIV染色では大動脈動脈硬化巣の面積に有意差を認めなかった。しかし二重遺伝子改変マウスでは、ApoE欠損マウスに比べて、necroti ccoreの面積プラーク破綻がむしろ増加した。TC、LDL-C、HDL-C、TGは両者で有意差を認めず。二重遺伝子改変マウスではプラーク内マクロファージのアポトーシスが有意に多かった。 2.マクロファージMafB強制発現細胞と恒常的発現抑制細胞を用いた機能解析マクロファージ細胞株RAW264.7細胞を用いMafB強制発現する安定発現細胞株とshRNAにより恒常的MafB発現抑制された安定発現細胞株を得た。MafB発現抑制マクロファージでは、LPS刺激ではMMP9の発現が有意に上昇していた。またMafB発現抑制マクロファージは野生型マクロファージに比べて、貧食能は低下していた。MafB欠損マウス由来のマクロファージでは、c-Mafの代償性の増加がみられ、貧食能は保たれるという報告があるが、本研究ではMafB発現抑制マクロファージおよびDN-MafBマウス腹腔マクロファージでは、代償性のc-Maf増加は見られなかった。 DN-MafBマウスおよび野生型マウスの骨髄をApoE欠損マウスに移植し、DN-MafBマクロファージが大動脈プラークに与える影響をさらに検討中である。
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