研究概要 |
<平成21年度実験内容> KLF6の心血管・脂肪代謝系における役割を同定し治療標的の発見に繋げるため、まず発生初期における器官形成期のKLF6発現状況を確認した。LacZ-knock inをmarkerとした検索では胎生10day頃の心基部また大動脈周囲において弱いながらもpositiveな所見を得た。また各種病態刺激下でのリモデリング応答の差異に付きノックアウトマウスを用いてin vivoにおける検討を行った。ノックアウトマウスを用いた検討ではアンギオテンシンII負荷において心線維化の著名な減退をノックアウトマウス群にて認め、胸部・腹部大動脈縮窄モデルでは心肥大・拡張の抑制が認められ病態刺激・負荷下での心血管リモデリングにKLF6が重要な役割を果たしている事が示された。またワイヤー血管障害においてもノックアウト群での新生内膜の肥厚に差がみとめられ、高脂肪食等食負荷に対しては肥満化の抑制傾向といった心血管のみならず代謝の経路にもKLF6絡むことが再確認された。多方向からの病態刺激におけるKLF6の役割についての検討を行う更に標的と判明した細胞を用いin vitroで細胞・分子レベルにおける確認を行っている。初代継代心筋線維芽細胞・心筋細胞・前脂肪細胞を用いKLF6 gain of function, loss of function等in vitroでの検討、具体的にはアンギオテンシンII等病態刺激によるKLF6発現・被転写活性化因子の同定(マイクロアレイ・クロマチン免疫沈降)も進行中でありTSP等治療標的となりうる因子が挙げられている。現在、アデノウイルスベクター等によるKLF6強制発現の影響、またRNA干渉等を用いた選択的KLF6ノックダウンによる影響の検討、KLF6下流因子の同定を進めている。
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