平成22年度は前年度の成果を踏まえて以下の検討を行ってきた。 1)血管障害部位への遺伝子導入方法の検討:骨髄細胞採取の上で培養を行い、遺伝子導入を行い、それを糖尿病下肢壊疽モデル動物(下記2))の尾静脈より注入し、局所への生着を測るという当初よりのモデルにての検討を統合的に試みてきたが、現実的に結果のばらつきが大きく評価困難である事が明らかとなってきたため、本学の血管障害モデルを検討されている先生方に御意見を伺い、一部モデルの改変を試みた。具体的には1.遺伝子導入方法についてリポフェクションとエレクトロポレーションを併行していたが、エレクトロポレーションに統一、2.骨髄細胞採取、培養のステップについても培養効率、感染の問題および導入後の免疫反応による影響が懸念され、また障害局所への細胞のリクルートを意図してのマクロファージへの導入であったが、効率を考慮して直接障害血管に隣接した筋組織への遺伝子導入を行うこととした。 2)下肢壊疽のモデル動物の確立:本モデルについても血管周囲カフ留置を中心に検討を行っていたが技術的安定性が乏しい事が明らかとなり、既に確立されているモデルを用いた上で、アディポネクチン遺伝子発現による障害血管の再生効果の評価に焦点を絞るべきではないかとのアドバイスを受けて、スフィンゴシン-1-リン酸系の効果の評価が行われて成果が上がっている大腿動脈結紮モデルを中心に用いる事である程度の結果を得る見通しが立つようになってきた。それらの成果を元に現在も検討を継続している。
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