・ラット頸動脈内膜擦過モデルでのGirdinによる遺伝子治療の検討 ラット頚動脈内膜擦過モデルで、Girdinに対するshRNAを発現するアデノウイルスベクターを注入し、中膜平滑筋細胞でGirdinをノックダウンした。14日後に得られた組織標本で新生内膜厚をコントロール群と比較したところ、Girdinノックダウン群では新生内膜形成の有意な抑制が認められた。また、新生内膜内の細胞で、Girdinノックダウン群では、細胞増殖が有意に減少していた。再内皮化過程には両群で差は認められなかった。次いで、Girdin wild type、SA formを発現するアデノウイルスベクターを用いて擦過後の頚動脈中膜平滑筋でGirdin wild type、SA formを過剰発現させて新生内膜形成を評価したが、有意な差は認められなかった。GirdinのAktによるリン酸化の、新生内膜形成における役割を明確にするために、GirdinのAktによるリン酸化サイトであるセリン1416をアラニンに置換したGirdinS1416Aノックインマウスを作製した。このマウスで大腿動脈wire injuryモデルを作成してさらに研究を進める予定である。 ・Girdinのvascular permeability調節機能のin vivo、in vitroでの解析 Girdinの血管透過性調節に対する関与を検討するために、HUVECを用いたin vitroの実験を行った。Girdinのノックダウンで、VEGF刺激下でのFITC-dextranのHUVECのmonolayerでの透過性は有意に抑制された。また、Girdinのノックダウンにより、VE-cadherinのendocytosisが減少していることが判明した。このメカニズムをさらに検討していく予定である。
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