研究課題
本年度本申請研究では、病的刺激に対する心筋細胞のストレス反応におけるMRTF-Aの役割をMRTF-Aノックアウトを用いて詳細に検討した。具体的には、MRTF-Aノックアウトにたいして大動脈結紮による慢性心肥大モデルを作製し、その生理学的、生化学的、分子生物学的解析を行い、圧負荷心肥大におけるMRTF-Aの役割を解析し、たMRTF-Aが圧負荷による心肥大に重要な役割を果たしている結果を得た。また、他の刺激による心肥大モデルについても検討すべく、アンジオテンシンII投与による心肥大モデルも作製したところ、同様にMRTF-Aノックアウトマウスでは心肥大反応が現弱していた。さらに、いずれの実験においても、これらモデルの表現形質の観察に加え、心臓からたんぱく質、RNAを抽出し、SRF標的遺伝子およびその産物の発現などについての生化学的あるいは分子生物学的解析を行った。またMRTF-Aの心肥大反応における役割の分子機序を詳細に明らかにすべくin vitroの解析も行った。具体的にはMRTF-A KOの心筋細胞、あるいはラット心筋細胞においてsiRNAによりMRTF-Aをノックダウンした細胞を用いて、成長因子やサイトカインにたいする反応について野生型心筋細胞と比較し、MRTF-Aがどのような分子機序で心筋リモデリングに関わっているかを詳細に検討し、現在その解析結果をまとめているところである。また、MRTF-Aの心筋リモデリングにおける役割の分子機序、特にその下流の分子メカニズムをさらに検討する目的で、圧負荷、あるいはアンジオテンシンIIを投与したMRTF-Aノックアウトマウスの心臓のmRNAを抽出し、マイクロアレイを用いてMRTF-Aの下流の標的遺伝子群の同定・解析も開始しており、来年度継続していく予定である。
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http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~med2/jpn/research/cardio.html