研究概要 |
1) ヒトiPS細胞から血管構成細胞の分化誘導 我々がこれまでサルおよびヒトES細胞で培った分化誘導法を用いて、ヒト成人線維芽細胞にOct3/4, Sox2, Klf4, c-Mycの4つの遺伝子を導入して作製された201B6, 201B7、およびc-Mycを除く3つの遺伝子を導入して作製された253G1, 253G4の4つのiPSセルラインにおいてヒトiPS細胞からの血管構成細胞(血管内皮細胞・壁細胞)の分化誘導を行った。それらヒトiPS細胞からの血管細胞の分化過程はヒトES細胞とほぼ同等であった。また、ヒトiPS細胞からの血管細胞の分化過程はBセルラインとGセルライン間で有意な差は認められなかった。分化効率にはセルライン間でばらつきが認められた。 2) 血管分化誘導法の改良 他施設との共同研究において、フィーダー細胞を用いず、より血管内皮細胞への分化効率の高いヒトiPS細胞血管分化誘導法を開発した。 3) ヒトES・iPS由来血管内皮細胞と成人の血管内皮細胞の機能的比較 ヒトES由来血管内皮細胞およびヒトiPS由来血管内皮細胞は、いずれも成人大動脈内皮細胞に比べ細胞増殖能、in vitroでの内皮欠損回復能、マトリゲルでのネットワーク形成能が有意に高かった。 4) ヒトES・iPS由来血管内皮細胞と成人の血管内皮細胞の遺伝子発現の比較 ヒトES・iPS由来血管内皮細胞と成人大動脈内皮細胞の遺伝子発現をDNAマイクロアレイで比較したところ、様々な遺伝子の発現の差が認められた、その中に、老化関連遺伝子の一つであるSirt1があり、定量的PCR、ウエスタンブロットによる解析でも、ヒトES・iPS由来血管内皮細胞は成人大動脈内皮細胞にくらべSrit1の発現が有意に高かった。
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