研究概要 |
昨年から引き続き,心房細動の血行動態を評価するために,心カテーテル検査と同時に心エコー検査を施行する症例を収集した. 解析にパソコンおよびソフトウエア整備が必要であった. 検査における人的体制やデジタルデータ記録の体制も整い,順調に症例を重ねることが可能であった.平成23年2月の時点で,目標症例数である18例の症例収集に成功した. 心カテーテルより得られるTau,左室拡張末期圧とE/e'やストレイン値等の心エコー指標との相関を検討した.また多変量解析を用いて,左室拡張末期圧,tauを最もよく反映する心エコー指標を特定した.結果,Tauとは心エコー検査における心筋ストレイン解析により求めることが可能である拡張早期最大ストレインレート値(eSR)と最もよく相関を示し,左室拡張末期圧とは,E/eSRが最もよい相関を示した.これらの心エコー指標は治療のマーカーとして用いることも可能であろうと推測される. また,心房細動は心拍変動性による血行動態の変化があるため,その変動性についても今回は検討を加えた.その結果,収縮期指標は心拍変動性のうち先行RR間隔と先々行RR間隔との相関性を見いだすことができたが,拡張期指標では心拍変動性に影響をうけなかった. これにより,拡張能指標をある代表的な一心拍で代用することの難しさが示された.
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