副交感神経活動がもたらす心不全病態改善作用のメカニズムを分子レベルで理解することを目的として、心筋梗塞モデル動物に対するコリンエステラーゼ(アセチルコリン分解酵素)阻害剤の影響を検討した。その結果、コリンエステラーゼ阻害剤は、心筋梗塞急性期において、梗塞部位に浸潤してきた炎症系細胞からの細胞外基質分解酵素の産生を抑制し、心拍数および血圧非依存的に左心室自由壁破裂による死亡率を低下させることが明らかになった。また、コリンエステラーゼ阻害剤の浸潤細胞に対する抗炎症作用は、非コリン作動系のシグナル伝達を介している可能性が示唆された。
|