1. ペプチド・薬剤封入ナノ粒子の製剤化と最適化 アドレノメデュリンあるいはピタバスタチンを封入した生体吸収性PLGAナノ粒子を作製し、スクリーニングすることにより最適なナノ粒子製剤を探索研究した。具体的には異なる処方で作製したナノ粒子の平滑筋増殖抑制、内皮細胞再生促進効果を培養細胞レベルで検証した。ナノ粒子は短時間内に高率に導入され、細胞質内に安定して長期間(7日間以上)停留すること、ナノ粒子製剤化していない薬剤と比較し細胞内DDSにより長期間に渡り有効性が持続することを明らかにした。このようなナノ粒子の細胞内DDS機能を利用すれば、低濃度のアドレノメデュリン・ピタバスタチンによって血管細胞機能を制御できることが期待される。 2. ダブルDDSによるウサギバルーン傷害後新生内膜形成モデルにおける治療効果の解析: 耐圧性に優れた高流量のインフユージョン装置の開発に成功した。本システムを用いてナノ粒子を傷害血管壁内に送達し、その局在と時間経過を明らかにした。疾患モデルとして高脂血症ウサギバルーン傷害モデルを用いた。本モデルはヒトバルーン拡張後の再狭窄を再現した動物モデルである。間欠式パルスインフユージョンカテーテルシステムを用いてFITC封入ナノ粒子をバルーン傷害後のウサギ腸骨動脈に投与するとナノ粒子が血管壁に効率的に送達されることを明らかにした。少なくとも21日間は血管壁にFITCのシグナルが検出されたことから、間欠式パルスインフユージョンと生体吸収性PLGAナノ粒子を組み合わせたいわゆるナノダブルDDSは優れた低侵襲医療の開発に繋がることが期待される。
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