前年度までに、以下の検討を行ってきた。 1)単球選択的ナノDDSの生体内動態の検証 2)単球選択的ナノDDSによるマクロファージ分化スイッチ制御の検討 3)プラーク破綻が再現よく生じるマウスモデルの作成 今年度は以下の検討を行った。 4)マクロファージ分化スイッチ(M1/M2 polarity)制御によるプラーク破綻予防効果 上記3)のプラーク破綻モデルマウスにおいて、PPAR-γアゴニスト、ピオグリタゾン封入ナノ粒子(Pio-NP)の効果を検討した。ピオグリタゾン7mg/kg/週相当のPio-NP静脈内投与は、組織中のマクロファージM1/M2 polarityをM2にシフトし、病理学的プラーク破綻(埋没線維性被膜)の頻度を有意に抑制し、その間炎症細胞浸潤の減少、線維性被膜の増厚を認めた。同量のピオグリタゾン経口投与1mg/kg/日ではプラーク破綻抑制効果を認めなかった。結果として、マクロファージの分化スイッチ制御が粥状動脈硬化プラーク破綻予防治療となり得ることが示唆された。
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