平成21年度の研究実施計画に基づき、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のスクリーニングを合計130件程度行い、内約7割程度にSASの合併を認め、さらに合計40例程度のチェーン・ストークス呼吸(CSR)合併が判明した。この際、心エコー検査、MIBG心筋シンチ、BNPなどの採血を行い、CSRの重症度と^<123->MIBG心筋シンチ(Wash out rate)に相関を認め、CSR形成に交感神経活性が重要な関わりを持つことが判明した。 次に、その後の加療に際して、診断、夜間酸素療法(HOT)、順応性自動制御換気療法(ASV)といった治療時にポリグラフ検査と併せて、夜間の血行動態及び尿中ノルアドレナリンの測定を行った。ASV使用急性期において、有意に夜間の脈拍の減少、翌朝の収縮期血圧の低下、尿中カテコラミンの減少効果を認めることが判明した。また、同様に血中BNP、NT-proBNP及びテネイシンCの測定も行っているが、こちらは現在検討中である。以上をもとに、中長期的なCSR加療、特にASV療法による心機能改善効果、予後改善効果について現在長期検討中であるが、ASV療法群において、非ASV療法群と比して心機能の改善(心エコー所見、BNPの低下など)を確認しており、また入院+死亡を含めて心血管イベントを減ずる傾向が判明し、その経過観察を行っている。 また、体表面インピーダンス法による心拍出測定(ミハマメデイカル社製BioZ使用)を併用し、心不全患者におけるASVによる心拍出量及び肺含水量の変化を検討中であるが、ASVにて心拍出量の増加を来たす例とそうでない例を認めている。以上のことから、長期的なASV療法が効果ある例とそうでない例の予測について今後も検討していく予定である。 次年度も、SAS、特にCSRに対するASV療法による短期的な心機能改善効果を検討する予定である。 なお、上記結果については、随時国内外の学会などにて随時公表中であり、現在結果の一部については学術誌への投稿準備中である。
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