研究課題
平成21-22年度の研究実施計画に基づき、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のスクリーニングを合計230件程度行い、内約7割程度にSASの合併を認め、その内、合計70例程度のチェーン・ストークス呼吸(CSR)合併が判明した。この際、心エコー検査、蘭IBG心筋シンチ、BNPなどの採血を行い、CSRの重症度とMIBG心筋シンチ(Wash out rate)に相関を認め、CSR形成に交感神経活性が重要な関わりを持つことが判明した。次に、その後の加療に際して、診断検査時、夜間酸素療法(HOT)、順応性自動制御換気療法(ASV)治療時にポリグラフ検査と併せて、夜間の血行動態、心不全マーカーであるBNP、NT-proBNP、トロポニンT及び交感神経活性指標である尿中カテコラミンの測定を行った。ASV使用急性期において、有意に夜間心拍数の減少、翌朝の収縮期血圧低下、BNP、NT-proBNP、トロポニンT、尿中カテコラミンの減少効果を認めることが判明した。以上をもとに、中長期的なCSR加療、特にASV療法による心機能改善効果、予後改善効果について長期検討し、ASV療法群において、非ASV療法群と比して心機能の改善(心エコー所見、BNPの低下など)を確認し、さらに心不全による再入院が減少することが判明し、今後の心不全診療において医学及び学術的に有意義な結果であった。また、体表面インピーダンス法による心拍出測定(ミハマメデイカル社製Bioz使用)を併用し、心不全患者におけるASVによる心拍出量及び肺含水量の変化を検討中であるが、ASVにて心拍出量の増加を来たす例とそうでない例を認めている。次年度も、SAS、特にCSRに対するASV療法による長期的な心機能改善効果、イベント抑制、についても検討する予定である。また、ASV療法が効果ある例とそうでない例の予測についても併せて検討していく予定である。なお、上記結果については、国内外の学会などにて随時公表中であり、本年度学術誌へ1篇掲載済み、その他の結果についても学術誌への投稿中ないしは投稿準備中である。
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心臓
巻: 42 ページ: 1072-1078
巻: 42 ページ: 1059-1065
Fukushima Journal of Medical Science
巻: 56 ページ: 115-120