研究概要 |
「研究目的」若年発症や家族発生が認められる心房細動において、未解明の遺伝子異常を明らかにし電気生理学的に機能解析を行うことで、心房細動をチャネル病として確立させることを目指すとともに、心房細動の発生機序と病態を解明し、新しい治療法を探索する。 「平成22年度の研究成果」 1、サンプル収集状況 当院の外来および入院患者のうち、若年発症(40歳未満)、および家族内集積を示す症例に対し、書面にて説明をし同意を得た上で、遺伝子解析目的の末梢血採取を行った。これまでに収集したサンプルは6家系、内訳は家族性4例、若年性2例であった。内1家系は兄弟とも30歳代前半の心房細動発症例でありいずれもカテーテルアブレーションの治療歴を有し、父親も若年より心房細動を指摘されており、明らかな優性遺伝形式を示した。 2、DNAシークエンシング 上記の家系に対し候補遺伝子のエクソンコード領域を特異的に増幅するプライマーを設計しPCR、DNAシークエンスにて塩基配列を解析した。候補遺伝子アプローチにより、KCNQ1,KCNH2,SCN5A,KCNE1,KCNE2,KCNJ2,CACNA1C遺伝子を解析を行なった。 3、途中結果 これまでに家族性心房細動において報告のある遺伝子において変異は同定されなかった。つまり、本家系は新しい遺伝子変異を有する貴重な症例である可能性がある。今後、次世代シークエンサーの応用により原因遺伝子の検索を行なう予定である。また、従来の解析手段にて同定した発熱で顕在化したBrugada症候群患者の遺伝子解析を行い、SCN5A遺伝子に新規の変異を同定したため、発表した。
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