研究課題
1.研究開始当初の背景:我々の報告により、レジスチン様分子(RELM)βがインスリン抵抗性に関与することが明らかとなりつつあった。また、血管内皮機能障害への関与を明らかとしたが、同時にヒトマクロファージからの分泌を見出した。2.研究の目的:本研究はマクロファージから分泌されるRELMβの引き起こすinnate immune反応が、粥状動脈硬化の形成に重要である、という仮説を検証する。3.研究の方法:C57/B16コンジェニック化RELMβ欠損マウス作出した。さらに、動脈硬化モデルマウスであるApoE欠損との二重欠損マウスを作出し、以下の点を検討した。・大血管microarrayと細胞内シグナル伝達解析:上行~胸部大動脈を摘出して形態的変化を検討した。・腹腔マクロファージex vivo/in vitro解析:RELMβ欠損マウス及び野生型の腹腔マクロファージの炎症性サイトカイン分泌および泡沫化を検討した。4.研究成果:(i)ApoE欠損マウスにおいて、RELMβをも欠損させたマウスを得た。本マウスでは、動脈硬化性病変におけるマクロファージの集族化、泡沫化の抑制を認めた。(ii)腹腔マクロファージex vivo/in vitro解析:RELMβ欠損マウスでは野生型の腹腔マクロファージに比べ炎症性サイトカインの分泌が抑制されていた。また、WHHLウサギ血清投与やAcLDL投与によるマクロファージ泡沫化についてもRELMβ欠損マクロファージでは抑制を認めた。RELMβ欠損マクロファージではスカベンジャー受容体の発現が抑制されていた。2年間の研究予定はほぼ達成し、今後はマクロファージ由来および腸管由来のRELMβのヒトからの分泌についての測定を進め、動脈硬化症等との関連を検討する。
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