Hot tub lungの原因抗原の同定を目的とし、まずHot tub lung発症株(HP株)と感染症発症株(non-HP株)のMAC菌体溶解物よりタンパク質を調整した。そのタンパク質を培養細胞(RAW細胞、マウス由来マクロファージ細胞株)の培養上清に加え細胞を刺激し、培養上清中のTNF-aを測定したが、両者間に相違は認めなかった。そこで実際に感染症ではなく、菌体成分がHot tub lungを引き起こしているかを確認するために、このHot tub lungの患者から分離されHP株の死菌を用い、hot tub lung動物実験モデル構築を行うと共に、免疫担当細胞、シグナル分子の解析を行った。その結果、HP株はマウスにおいても過敏性肺臓炎様の病態を引き起こした。一方、非結核性抗酸菌症の患者から分離されたnon-HP株は過敏性肺臓炎様の病態を惹起せず、感染ではなく菌株の免疫原性がhot tub lungの病態形成に重要である事が明らかになった。また、シグナル分子、免疫担当細胞を解析した結果、HP株はtoll like receptor 9 (TLR9)-myeloid differentiation primary response gene 88 (MyD88)経路依存性に免疫応答を惹起し、肺CD 11c^+細胞、その中でもCD103-CD11c^+ CD11b^+細胞(CD11b^+樹状細胞)がTLR9依存性に免疫応答に関与していた。以上の結果から、Hot tub lungは真の過敏性肺臓炎であること、TLR9-MyD88経路を介し肺CD11b^+樹状細胞が病態形成に関与することが示された。
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