肺胞の恒常性の維持には肺胞上皮のバリア機能が重要であり、肺炎、心不全やARDSなどの疾患の原因の一つとして肺胞上皮細胞間のバリアの破綻があげられる。上皮細胞の物理的なバリアは細胞間の体とジャンクションにより形成されていると一般に考えられている。タイトジャンクションの主要な構成タンパクはclaudinであり、24種類のアイソタイプが知られている。これまでの研究により、claudinの発現パターンにより、上皮細胞のバリアの性質が決定される。そのため、マウス肺の肺胞上皮細胞でのclaudinの発現パターンを解析した。その結果、claudin-5、claudin-18がマウス肺で主に発現するclaudinと同定された。また、さらに、共焦点顕微鏡を用いて、肺胞壁でのclaudinの発現を検討すると、claudin-18が肺胞上皮細胞で主に発現するclaudinと同定された。そのため、siRNAを用いて、マウスの肺胞上皮でclaudin-18の発現を抑制する実験を計画した。その前段階として、培養細胞でのcladuin-18の発現を検討したが、培養細胞ではclaudin-18の発現が確認されなかった。肺胞上皮細胞では、培養することにより、細胞の性質が変化することが知られており、そのため、現在、マウス肺から肺胞上皮細胞を分離し一次培養することを試みている。また、培養細胞に各種claudinを発現させることにより、細胞にどのような影響がでるかin vitroで検討するため、各種claduinを発現し培養細胞を樹立することを試みている。
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