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2010 年度 実績報告書

宿主由来HGFによる変異型EGFR陽性肺癌のゲフィチニブ耐性機構解析とその克服

研究課題

研究課題/領域番号 21790768
研究機関金沢大学

研究代表者

ワン ウェイ  金沢大学, がん研究所, 研究員 (80467117)

キーワード肺癌 / 分子標的治療 / 薬剤耐性 / 肝細胞増殖因子 / 線維芽細胞 / ゲフィチニブ
研究概要

上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)であるゲフィチニブおよびエルロチニブは、EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺癌(NSCLC)に奏効性が高い。しかし、奏効例もほぼ例外なく1~数年以内に耐性を獲得し再燃することが次なる問題となっている。
宿主の間質細胞は癌細胞の機能を修飾することが知られているが、癌細胞の分子標的薬感受性に及ぼす影響はほとんど明らかにされていない、そこで、本研究ではEGFR遺伝子変異を有する肺癌細胞のEGFR-TKI感受性における間質細胞が果たす役割を検討した。
EGFR遺伝子変異(Exon 19の欠失)を有する肺癌細胞株(PC-9、HCC827)と線維芽細胞を共培養し、in vitroにおけるゲフィチニブ感受性をMTT法で検討した。またin vivoにおける検討として、PC-9と線維芽細胞をあらかじめ混せた後にSCIDマウスの皮下に移植し、4日後からゲフィチニブを連日経口投与し治療効果を評価した。HGF産生はELISA法で測定した・線維芽細胞の遊走能はダプルチャンバー法で検討した。
線維芽細胞株および肺癌患者の腫瘍組織から樹立した初代培養線維芽細胞は種々の濃度のHGF (hepatocyte growth factor)を産生した。肺癌細胞株は線維芽細胞の遊走を著明に誘導した。肺癌細胞株PC-9とHCC827はゲフィチニブに高い感受性を示したが、線維芽細胞と共培養することで耐性となった。線維芽細胞によるゲフィチニブ耐性は、抗HGF中和抗体やNK4(HGFの受容体結合阻害物質)により解除された。さらに、PC-9の皮下腫瘍はゲフィチニブ治療に高い感受性を示したが、線維芽細胞をあらかじめ混ぜて接種するとゲフィチニブ治療によっても縮小せず、耐性化がみられた。しかし、抗HGF中和抗体やNK4を併用することで耐性は解除され、腫瘍は著明に縮小した。
以上より、線維芽細胞は肺癌細胞により腫瘍局所にリクルートされ種々の濃度のHGFを産生するが、HGFを高産する場合にはEGFR遺伝子変異を有する肺癌細胞のEGFR-TKI耐性を誘導することが明らかとなった。宿主間質細胞との相互作用は癌細胞のEGFR-TKI感受性において非常に重要な役割を果たしており、耐性克服の治療標的となることが示唆された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Transient PI3K Inhibition Induces Apoptosis and Overcomes HGF-Mediated Resistance to EGFR-TKIs in EGFR Mutant Lung Cancer.2011

    • 著者名/発表者名
      Donev IS, Wang W, Yamada T, Li Q, Takeuchi S, Matsumoto K, Yamori T, Nishioka Y, Sone S, Yano S
    • 雑誌名

      Clinical Cancer Research

      巻: 17 ページ: 2260-2269

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hepatocyte growth factor reduces susceptibility to an irreversible epidermal growth factor receptor inhibitor in EGFR-T790M mutant lung cancer.2010

    • 著者名/発表者名
      Yamada T, Matsumoto K, Wang W, Li Q, Nishioka Y, Sekido Y, Sone S, Yano S.
    • 雑誌名

      Clinical Cancer Research

      巻: 16 ページ: 174-183

    • 査読あり
  • [学会発表] Novel gefitinib resistance mechanism and its therapeutic strategy for lung adenocarcinoma with EGF receptor activating mutations.2010

    • 著者名/発表者名
      Wei Wang, Qi Li, Tadaaki Yamada, Yasuhiko Nishioka, Saburo Sone, Seiji Yano.
    • 学会等名
      第19回日本がん転移学会
    • 発表場所
      金沢市文化ホール(石川県)
    • 年月日
      20100716-20100717
  • [学会発表] Stromal Fibroblasts Induce Resistance of Lung Cancer to EGFR Tyrosine Kinase Inhibitors.2010

    • 著者名/発表者名
      Wei Wang, Qi Li, Tadaaki Yamada, Yasuhiko Nishioka, Saburo Sone, Seiji Yano
    • 学会等名
      第50回日本呼吸器学会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都府)
    • 年月日
      20100423-20100425
  • [学会発表] Therapeutic effect of HGF inhibitors against HGF-induced EGFR-TKI resistance in lung cancer harboring EGFR mutations.2010

    • 著者名/発表者名
      Seiji Yano, Wei Wang, Qi Li, Ivan S.Donev, Shinji Takeuchi, Tadaaki Yamada, Kunio Matsumoto, Yasuhiko Nishioka, Saburo Sone
    • 学会等名
      AACR 101st Annual Meeting 2010.
    • 発表場所
      Walter E.Washington Convension Center (USA)
    • 年月日
      20100417-20100421

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公開日: 2012-07-19  

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