研究課題
アレルギー疾患である気管支喘息は、生活スタイルの欧米化に伴い本邦にても増加傾向にある。また、生活スタイルの欧米化と共に肥満も増加しており、肥満の気管支喘息病態への影響が想定される。肥満では、アディポサイトカインと言われる主に脂肪組織から産生されるサイトカインにより、慢性炎症が惹起、持続されることが知られている。代表的アディポサイトカインであるアディポネクチンは抗炎症作用を、レプチンは炎症促進作用を持つことが報告されているが、これらの喘息病態への関与は知られていない。本研究では、肥満喘息患者(BMI≧25、5名)、非肥満喘息患者(BMI<25、16名)を組み入れ、気管支喘息重症度指標(1秒率(%FEV1)、気道過敏性(PC20)、呼気一酸化窒素濃度(FeNO))を測定し、誘発喀痰採取を行った。また、末梢血中アディポネクチン、レプチン濃度、加えて、誘発喀痰上清中アディポネクチン、レプチン濃度を測定し、これらアディポサイトカインと喘息重症度との相関を検討した。末梢血中アディポネクチン、レプチン濃度は、BMI、体脂肪量等の肥満指標と有意な相関を示したが、気管支喘息重症度指標とは有意な相関は示さなかった。誘発喀痰上清中アディポネクチン、レプチン濃度は、肥満指標及び気管支喘息重症度指標と有意な相関は示さず、今回の検討では、アディポネクチン、レプチンの気管支喘息病態への関与は示されなかった。しかしながら、誘発喀痰上清中アディポネクチン、レプチン濃度は、末梢血中アディポネクチン、レプチン濃度とも相関を示さず、気道独自の分泌制御がなされている可能性があり、今後検討するべき課題と考えられた。
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Respiratory Medicine
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