研究課題
好中球性炎症は難治性喘息の一つの特徴であり、Th17細胞から産生されるIL-17はIL-8などの産生を介して好中球性炎症を誘導する。我々は以前に、好中球と好酸球の共存下にIL-8で好中球基底膜通過反応を誘導すると,好酸球刺激因子がなくても,好酸球の基底膜通過遊走反応が誘導され、好中球が好酸球の組織集積を能動的に調節しうることを報告した。本年度はマウス好酸球性気道炎症モデルを用い、IL-17遺伝子導入の好中球性炎症及び好酸球炎症に対する効果を検討した。第0日及び第11日にBALB/cマウスを卵白アルブミン(ovalbumin;OVA)/alum 2μg/bodyまたは生理食塩水で全身感作し、第18日から第20日にかけて3%OVAで吸入感作した。OVA感作マウスの一部は第-3日または第17日に水力学に基づくplasmid DNA(100μg;IL-17 plasmidまたはcontrol plasmid)の遺伝子導入を受けた。IL-17遺伝子導入は、マウスアレルギー炎症モデルにおいて、好中球気道炎症だけでなく好酸球性気道炎症も増悪させる傾向にあった。また全身感作前のIL-17遺伝子導入だけでなく、全身感作後吸入感作前のIL-17遺伝子導入でも同様の傾向であった。すなわち、IL-17遺伝子導入が好中球性気道炎症を誘導し、さらに好酸球の気道への集積を増強させる可能性が示唆された。今後再現性の確認と、他の機序の検討を行う予定であるが、今回の結果から、Th17型免疫応答の制御は難治性喘息の重要な治療戦略である可能性が示唆された。
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Auris Nasus Larynx
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