非アトピー型喘息患者では、あらゆる検査においてIgEが検出されないため、原因アレルゲンや病態、関与しているファクターについて不明な点が多い。従来考えられている発作に至るセオリーだけでは説明がつかないケースがあり、新たなファクターが喘息発作に関与していることが示唆される。炎症性細胞や脂質メディエーター非依存的にT細胞が直接喘息反応に関与しているとの報告から、T細胞産生性の平滑筋収縮活性について調べた。非アトピー型喘息患者末梢血リンパ球と遅発型喘息反応を誘発する抗原との共培養上清を回収し、ヒト気管支平滑筋細胞を包埋した3次元コラーゲンゲルに作用させると収縮が認められた。この収縮は開始が遅く、時間経過と共に徐々に収縮が増大するパターンをとり、遅発型喘息反応の主な原因因子であるロイコトリエンを平滑筋細胞ゲルに作用させた時の収縮パターンに似ていたが、その拮抗剤での抑制は認められなかった。また、喘息で優位になるTh2サイトカイン(IL-4・IL-5・IL-13)や平滑筋収縮作用が報告されている生理活性物質(calcitonin gene related peptide・IL-8)での平滑筋細胞ゲル収縮はほとんど見られなかった。非アトピー型喘息患者末梢血リンパ球上清での平滑筋細胞収縮と上清中サイトカインとの相関を調べたところ、IL-5 (p<0.05)、IL-13 (p<0.001)で正の相関を認め、これらのTh2サイトカインと同調して産生される活性であることが示唆された。この活性は分子量ろ過の結果、既知の収縮物質に比べて分子量が大きく、今後詳細に調べていくことで、非アトピー型喘息における気管支平滑筋収縮原因物質のひとつを解明することが期待される。
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