L型アミノ酸輸送体(LAT1)は、様々な悪性腫瘍で高発現している。肺癌(非小細胞癌)においてLAT1阻害することで抗腫瘍効果を認めるかどうかを検討した。本研究では、まず肺癌細胞株(NSC-H1395)を使い、LAT1発現の阻害効果(古典的アミノ酸輸送体阻害剤であるBCHを用いた)をin vitroで検討した。In vitroの実験の結果は、BCHにてH1395のcell viabilityは濃度依存的に抑制された。BCHとGefitinibとの併用では、gefitinibの相加効果が認められた。そして、LAT1阻害により、mTOR、p70S6K、4EBP1のリン酸化は抑制され、LAT1発現におけるmTORシグナル伝達の関与が示唆された。次に、肺癌臨床検体(外科的切除標本)120症例を用いて、臨床病理学的な検討も行った。LAT1高発現は、EGFR wild typeに関与し、肺癌における独立した予後因子であることが証明された。以上の実験結果より、LAT1発現は、EGFR遺伝子変異を持たない肺癌に多く、LAT1阻害は、EGFR野生型の肺癌における治療薬としての意義があるのかもしれない。
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