研究課題
近年、慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease : CKD)の重要性が注目されており、更にCKDと心血管疾患の関連性が非常に注目されている。心腎関連を考え、これらの進展予防に対して様々な研究がなされているが、心腎連関に関する病態機序は非常に複雑であり、まだまだ解明されていないことが多々存在する。その原因の一つとして、我々は酸化ストレスおよび病毒症物質の関与を考え、前年度の研究で、アドリアマイシン+片腎摘、5/6腎摘によるCKDモデルラットを用いた実験を行った。この実験において尿毒症吸着物質が酸化ストレスを低下させ、心病変を改善させることを証明した。更にCKDの原因として重要である糖尿病性腎症における酸化ストレスの関与を調べるため、非肥満2型糖尿病モデルラット(SDTラット)を用いて、その病態解明のための実験を行った。早期の糖尿病性腎症では、酸化ストレスおよびNOが上昇し、これらが相互作用を起こし、ニトロストレスを亢進させ、腎障害進展に関係していることがわかった。また尿毒症物質の1つであるAsymmetric dymethylarginine (ADMA)の血中レベルが上昇しており、この分解酵素であるDimethylarginine dimethylaminohydolase (DDAH-I、DDAH-II)の発現が低下していた。ADMAは、心血管疾患と深く関わっており、酸化ストレスを亢進させることが知られている。我々の研究結果からは、このADMAも早期の糖尿病性腎症において腎症進展に関わっている可能性が推測された。
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