研究概要 |
分子時計の抑制因子である抗DEC1抗体を用いたChIP-on-chipの解析により、Na^+-K^ATPase遺伝子のプロモーター領域にDEC1タンパクが結合する領域があることが示唆された。Luciferase assayを用いて、この配列の転写活性が分子時計の促進因子であるCLOCK/BMAL1で上昇し、抑制因子であるCRY, DEC1で抑制することを確認した。さらに、この領域にDEC1が直接結合することをChIP assayを用いて明らかにした。6時間ごとにサンプリングしたマウスの腎臓・大動脈では、Na^+-K^+ATPase mRNAの発現量は24時間のリズム形成を示した。一方、DEC1ノックアウトマウスでは24時間のリズム形成は保たれていたが、腎臓・大動脈ともにNa^+-K^+ATPase mRNAの発現量は上昇していた。免疫染色においても同様に、Na^+-K^+ATPaseの発現量に日内変動を認め、DEC1ノックアウトマウスではNa^+-K^+ATPaseの発現量が腎臓・大動脈ともに上昇していた。次に、マウス非観血的血圧測定装置BP-98を用いて2時間ごとに血圧を測定した。マウスの24時間の血圧は日内リズムを有し、夜間にピークを認めた。DEC1ノックアウトマウスでも同様に24時間のリズム形成は保たれていたが、ワイルドタイプと比較し有意な血圧の低下を認めた。以上から、DEC1は、Na-Kチャンネルを介して血圧の概日リズムを制御していることが示唆された。
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