研究概要 |
前年度はLuciferase assayおよびChIP assayを用いて、DEC1タンパクが結合するNa^+-K^+ATPase遺伝子のプロモーター領域の転写活性が分子時計の促進因子であるCLOCK/BMAL1で上昇し、抑制因子であるCRY,DEC1で抑制することを明らかにした。さらに、DEC1 knockout mouseではNa^+-K^+ATPaseの発現量が腎臓・大動脈において上昇し、Wild type mouseと比較し血圧が低下することを明らかにした。Dec1は分子時計系の抑制因子であるが、Clockは分子時計系の促進因子である。本年度はClock mutant mouseを用いて研究を行った。Clock mutant mouseではNa^+-K^+ATPaseの発現量が腎臓・大動脈において低下し、Wild type mouseと比較し血圧が上昇し、血圧の日内変動が消失することを明らかにした。また、DEC1 knockout mouseおよびClock mutant mouseにおける血清アルドステロン値はwild type mouseと同等であり、血圧の変動がアルドステロンによる影響でないことを明らかにした。本研究によって、(1)Na^+-K^+ATPaseは時計遺伝子によって直接的な制御を受けていること、(2)血圧の日内変動が、Na^+-K^+ATPaseを介して時計遺伝子によって調節されていることが示唆された。今後、本研究を基にした研究が発展すると考えられる。
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