末期腎不全患者である長期透析患者では、カルシウム・リンの貯蔵庫としての骨機能が障害され、「骨不全」とも称される骨のミネラル保持能力低下により、高い頻度で軟部組織に異所性石灰化が起こり、患者の生命予後を左右する重要な問題となっている。骨粗鬆症あるいは血管石灰化は加齢と共に発症する老年病であり、両者はしばしば合併する。これら二つの病態に対する関連性を示唆するエビデンスが蓄積されてきており、その発症並びに病態の進展に老化制御因子が関与する可能性が示唆されている。申請者はこれまでに末期腎不全患者に見られる異所性石灰化、および骨粗鬆症と血管石灰化の発症機能を繋ぐ因子を検索し、「骨不全」と「血管石灰化」を結ぶ新しい老化制御転写因子MBF1を同定した。本研究ではこのMBF1の分子基盤の確立をおこなうことにより、新しいミネラル老化学を解明する。
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