心血管疾患の危険因子の重積により重症化するメタボリックシンドロームは社会的な問題となっている。最近、組織レニン・アンジオテンシン系の調節因子として明らかになった組織プロレニン受容体が、同病態においてどのような働きをするのかを解明することが本研究の目的である。本研究では、肥満合併高血圧モデル動物であるSHR/NDmcr-cp(コレツキーラット)に(プロ)レニン受容体ブロッカーであるHRP decoyとそのscramble decoyを投与し、(プロ)レニン受容体のインスリン抵抗性への影響を検討した。SHR/NDmcr-cpラットはleanとobeseに分け、エサは全て正塩食とし、治療はscramble decoyとHRP decoyを6週間皮下投与したものに分けた。12週後に腹腔内糖負荷テスト(ipGTT)インスリン感受性テスト(ipITT)を行った。結果はipGTTでは未治療群ではobeseが1eanより血糖値は高く、scramble治療群では血糖値はほぼ変化なかったがdecoy治療群で改善した。ipITTではインスリン投与後90分と120分後の血糖値をインスリン投与前と比較し、leanはobeseより血糖値が大きく下がった。未治療群とscramble治療群ではほぼ改善なかったが、decoy治療群ではobeseとleanの差が消失した。これらの結果から、(プロ)レニン受容体はメタボリックシンドロームのインスリン抵抗性に関与している可能性が示唆された。
|