研究概要 |
未治療の多発性硬化症(MS)患者6例、視神経脊髄炎患者(NMO)患者13例(ステロイド治療群7例、ステロイド非治療群6例)、健常人4例の末梢血よりFicoll-Paque法を用いて単核球(PBMC)を分離し、CD19陽性細胞上のCD27、CD38、CD5、CD72、IgGなどの発現をフローサイトメーター(FACSCalibur)を用いて解析した。PBMCにおけるCD19陽性細胞の割合や各細胞表面抗原の陽性頻度をMS、NMO、健常人で比較し、さらにNMOのステロイド治療群と非治療群で比較した。 NMOではMSや健常人と比較してPBMCにおけるCD19陽性細胞の割合に差はなく、CD19細胞上のCD5陽性頻度やCD72陽性頻度が高い傾向にあったが有意差はなかった。NMOのステロイド治療群ではPBMCにおけるCD19陽性細胞の割合の著明な低下があり、NMOのステロイド非治療群と比較して有意差があった。また、CD19細胞上のCD5陽性頻度がステロイド治療群で有意に低下しており、病勢を反映している可能性が示唆された。ステロイド治療前後で解析したNMOの2例において、ステロイド治療後にCD19細胞上のCD5陽性頻度が低下するのを確認した。CD5陽性CD19細胞はCD27陰性、IgG陰性のナイーブB細胞で、抗AQP4抗体の産生には関与していないとことを確認した。 また、MSの末梢血B細胞をグリア由来のサイトカインであるIL-6,IL-10,IL-15,BAFFで刺激しするとオリゴクローナルバンドが生成されるが、NMOの末梢血B細胞を刺激すると、その培養上清中に抗アクアポリン4抗体が検出された。NMOの末梢血B細胞が自己抗体産生に関与していることが明らかになったので、今後そのサブセットを同定する予定である。
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