研究概要 |
傍腫瘍性神経症候群(PNS)の診断と病態解明の必須である抗神経細胞抗体の高感度検出法を確立するために,商用のドットブロットキットの他,凍結マウス脳を用いた免疫組織化学(IHC),マウス脳ホモジネートを用いたウェスタンブロット法(WB)およびマウス海馬初代培養細胞に対する免疫細胞化学(ICC)の4法に加えて,既知の各種チャネルに対する抗体を検出する系を確立することを目標とした.具体的には,昆虫由来のSF9細胞膜上にバキュロウイルスを用いた発現系により,各種チャネル蛋白を発現させ細胞免疫染色により,その発現を確認することとした. VGKC,VGCC,NMDA受容体各サブユニットのコンストラクトをcDNAライブラリあるいは購入可能なベクターより入手し,バキュロウイルスベクター上へのクローニングに成功した.SF9細胞へのinfectionを行い,免疫染色ならびにウェスタンブロット法により発現確認を試みたが,いずれのコンストラクトも発現は確認できなかった.原因として多回膜貫通型タンパクのため3次構造をうまくとれず,タグも含めた抗体が反応しなかった可能性や発現量が低かった可能性を考慮した.今後,GFP蛋白を融合させたチャネル蛋白を発現させ,容易に発現レベルを確認すること,患者血清中の各種抗チャネル抗体の検出は,別の蛍光染色により可視化して,共焦点レーザー顕微鏡で確認するといった系への改良を行ってゆきたい.
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