研究概要 |
視神経脊髄炎(neuromyelitis optica, NMO)に特異性の高い自己抗体として、抗aquaporin-4 (AQP4)抗体が発見された。抗AQP4抗体産生の背景にあるサイトカインバランスの特徴を明らかにするため,抗AQP4抗体の測定結果を元に診断を確定したMO(およびNMO spectrum disorders, NMOSD), MS, Primary progressive MS (PPMS),非炎症性神経疾患患者(OND)の脳脊髄液を用いて蛍光ビーズサスペンションアレイ法により27種のサイトカイン/ケモカインを同時測定し,疾患毎の特徴を解析した。NMO/NMOSD 21例(そのうち再発17例),MS 26例(そのうち再発13例),PPMS 9例,OND 18例の髄液が利用可能であった。再発期で比較するとNMO/NMOSD群はMS群と比較してIL-6, IL-8, IL-17, IP-10が有意に高かった。またIL-6, IL-8, GCSFは採取時のEDSS,髄液中の好中球数と正の相関が見られ,IL-8とGCSFは脊髄の最大病変長との関連が見られた。抗AQP4抗体が陽性のNMO/NMOSDでは好中球を遊走させるIL-8, GCSFにより脊髄障害が惹起され,その背景に自己免疫応答との関連が指摘されているIL-17系の影響があると考えられた。
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