本年度は、I^<2020>T変異型LRRK2の細胞内分解と細胞死の関連を明らかにするために、1)昨年度に樹立した正常型、I^<2020>T変異型のV5タグ融合LRRK2を安定発現するSH-SY5Y細胞株(V5-LRRK2安定発現SH-SY5Y)における蛋白質安定性およびアポトーシス抑制能の解析、2)I^<2020>T変異、G^<2019>S変異以外の変異型LRRK2における細胞内半減期の解析、を行った。研究の成果を以下に示す。 1)V5-LRRK2安定発現SH-SY5Yを用いた実験から、I^<2020>T変異型LRRK2は、正常型LRRK2に比べて分解されやすく、その蛋白質分解経路はユビキチンプロテアソーム系、オートファジー系に起因することを確認した。また、この細胞株のアポトーシス誘導実験から、正常型LRRK2がアポトーシス抑制能を有するのに対し、I^<2020>T変異型ではその機能が低下していることがわかった。さらに、I^<2020>T変異型LRRK2は、細胞内分解を止めることによって、アポトーシス抑制能の回復が認められた。これらの結果は、前年度の研究成果を裏付けるものであり、この細胞株が、機能解析ツールとして有用であると示唆された。 2)細胞内半減期の解析のために、パーキンソン病患者で報告されている他の変異型LRRK2(R^<1441>C、R^<1441>G、R^<1441>H、Y^<1699>C、R^<1941>H、I^<2012>T)についてLRRK2発現プラスミドを作製した。
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