研究課題
2008年12月にミトコンドリア膜電位低下によりparkinがミトコンドリアに誘導され、ミトファジーを誘導するとの報告があり(J Cell Biol 183 : 795)、遺伝性パーキンソン病(PD)におけるミトコンドリア機能異常とミトコンドリア除去機構であるミトファジーとの関連が示唆され、PD病態解明におけるbreak-throughとなった。我々は同現象を追試・確認後、さらにparkin同様、ミトコンドリアに局在する遺伝性PD原因遺伝子PINK1とミトファジーとの関連を評価し、PINK1欠損細胞モデルでは、parkinがミトコンドリアに誘導されず、病因変異型PINK1においても同現象が減弱することを確かめ、PINK1-parkin関連ミトファジーの重要性を報告した(発表論文2)。さらに同論文でparkinが集積したミトコンドリアは強くユビキチン化され、p62との共局在を認めることも報告した。またミトコンドリア膜電位の低下を伴わない状態でも、PINK1およびparkinの強制発現によりmacroautophagy依存性ミトファジーが生じ、さらにkinase activity減少を伴う病因変異型PINK1では同現象が顕著に減少し、オートファジーマーカーとされるLC3との共局在・結合の増強を報告した(発表論文1)。さらにPINK1発現を完全にノックダウンした状態では、ミトコンドリア膜電位が低下し、呼吸機能が低下するも、活性酸素量は変化しないことを報告した(発表論文5)。またPD治療効果がありかつ、オートファジーを調節する可能性のある化合物に関する研究も推進し、カフェインがPI3K/Akt/mTOR系を抑制し、autophagyを亢進させることを報告し(発表論文4)、抗てんかん薬ゾニサミドがオートファジーではなく、アポトーシスを抑制することを確認し報告した(発表論文3)。(796字)
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