脳炎惹起性ペプチドを感作することで多発性硬化症(MS)の多彩な経過に類似した動物モデル(EAE)が作成可能である。SJL/Jマウスでは再発型EAEを惹起するPLP139-151と単相型EAEを惹起するPLP136-150がオーバーラップしていることから、遺伝的素因に依らないで寛解を維持する因子として、(1)脳炎惹起性ペプチド自体のヒエラルキー:優位性が高いペプチドほどそれで惹起したEAE は再発・再誘導されにくいという逆相関があること、(2)末梢リンパ節に寛解期以降で誘導されるCD4+CD25+T細胞(Treg):高値で維持され、最も制御能の高いCD69CD103共陽性の分画(DP-Treg)を多く含むことを突き止めた。さらにこのDP-Tregは病態形成に深く関わるTh17との類似点もありながらIL-6Rが低く維持されてTregの性質を保ったまま適材適所で制御性機能を発揮できると推定された。またこのTregは症状が起こらない条件でも誘導でき、ワクチンのように発症を抑制できることも示した。
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